現場の灯火 ― 3D計測・BIM活用の実績事例集
過酷な現場、複雑な形状、技術継承の課題を「測る技術」で解決してきた実績をご紹介します。
ケース1:稼働中・高温多粉塵の鋳造工場での耐震補強
高さ8mの現場調査を、足場なし・半日で
| 業種・現場 | 熊本県・鋳造工場(既存H柱の耐震補強) |
|---|---|
| 主な課題 | 高所・高温・粉塵の中での実測、天井クレーン稼働中 |
| 使用機材 | 3Dスキャナー |


課題
高さ8メートルの高所で既存鉄骨を実測するため足場が必要でしたが、稼働中の天井クレーンとの接触危険、高温環境下での長時間作業、多量の粉塵による精度低下といった三重の困難がありました。
対応
地上から3Dスキャナーを設置し、周囲を丸ごと点群データとして取得。人が高所に登ることなく、形・寸法・位置を正確に把握しました。足場の設置・解体工程が不要になり、クレーンの動線も妨げませんでした。
効果
- 現場調査が半日程度で完了(従来は足場設置に日数が必要)
- 高所作業がなくなり、墜落・転落リスクがゼロに
- 高温・粉塵環境での長時間作業がなくなり、作業員の負担を大幅に軽減
ケース2:稼働中の溶解炉、高温で人が近づけない築炉フードの取替工事
冷めるまで待てない現場での、地上からの丸ごとスキャン
| 業種・現場 | アルミ再生工場(築炉フード取替工事) |
|---|---|
| 主な課題 | 停止後も1週間高温が持続、複雑な煙道や耐火煉瓦の計測困難 |
| 使用機材 | BLK360、REAL4 |



課題
炉の停止後も1週間程度高温状態が続き、近くでの実測が困難。さらに直径2mの大きな煙道や、不規則に積まれた複雑な耐火煉瓦の形状をメジャーで測るのは極めて困難でした。
対応
3Dスキャナー(BLK360)を使用し、炉に近づくことなく点群データを取得。歪みや凹凸を丸ごと捉え、鉄骨専用CAD「REAL4」を用いて複雑な収まりを含めた施工図を作成しました。
効果
- 危険な高温環境への立ち入りをゼロにし安全性を確保
- 直径2mの煙道や複雑な煉瓦形状も正確に計測
- 現場合わせによる手戻りなく工事を完了
ケース3:耐火被覆に隠れた鉄骨の実測
見えない部分を「両端」から読み解く技術
| 対象・工種 | 既存鉄骨改修工事(耐火被覆のある梁・柱) |
|---|---|
| 主な課題 | 耐火被覆が邪魔をして、内部の鉄骨寸法を直接測れない |
| 使用機材 | 3Dスキャナー |
課題
耐火被覆が表面を覆っており、スキャナーでは表面形状しか捉えられません。かといって全長にわたり被覆を剥がすのはコスト・工期・粉塵面で非現実的です。
対応
梁や柱の両端部だけを最小限剥がし、露出した鉄骨を計測。両端の正確な断面形状や方向をベースに、被覆に覆われた中間部分の形状を高い精度で推定します。
効果
- 被覆撤去を両端のみに限定し、解体・復旧コストと工期を大幅抑制
- 手戻りゼロでの補強部材製作が可能に
- 粉塵・騒音の発生範囲を抑え、稼働中施設でも実施しやすい
ケース4:夜間・曲面壁・耐火被覆――三重の制約下での無火気鉄骨補強
営業中の商業施設で挑んだ、測る技術と無火気工法の融合
| 業種・現場 | ショッピングモール(デジタルサイネージ取付) |
|---|---|
| 主な課題 | 夜21時以降の短時間作業、曲線壁、耐火被覆の存在 |
| 使用機材 | BLK360、無火気工法 |

課題
店舗営業終了後(夜9時以降)という時間制限に加え、円弧状の壁、さらに耐火被覆に覆われているという難条件が重なっていました。
対応
両端部の耐火被覆を一部剥がして形状を正確に把握し、点群データに基づいた補強設計を実施。施工も火花を出さない無火気工法を採用しました。
効果
- 限られた夜間でも正確な形状把握と補強設計を実現
- 火災リスクを構造的に排除しながら施工を完了
ケース5:直径20m・高さ30mの巨大タンク、円形シュートの精密実測
メジャーでは測れない複雑な曲面を、点群で丸ごと持ち帰る
| 業種・現場 | 小麦粉貯蔵施設(コンベア・シュート補修) |
|---|---|
| 主な課題 | 高さ30mの高所、円形・複雑形状のため従来法では寸法が出せない |
| 使用機材 | BLK360、JWW |



課題
円弧を描くシュートや高所にある部材は、平面的な採寸を重ねても実際の3次元形状を再現しにくく、現場でのズレやトラブルの元になりやすかった点です。
対応
BLK360で点群データを取得し、曲面のままデータ化。汎用CAD「JWW」で施工図を作成し、現場でのズレを事前に解消しました。
効果
- 円形・複雑形状の部材を効率的かつ安全に計測
- 高さ30mの規模でも正確なデータを一括取得し、工事がスムーズに進行
ケース6:食品工場の耐震補強
天井裏の構造と配電盤の干渉を、点検口からのスキャンで解決
| 業種・現場 | 食品工場(耐震補強工事) |
|---|---|
| 主な課題 | 衛生管理上天井内に入れない、動かせない配電盤との干渉リスク |
| 使用機材 | BLK360 |

課題
衛生管理上、天井内部へ容易に入れず構造が不明。さらに移動できない電気配電盤と新設ブレースの位置が干渉するリスクがありました。
対応
限られた点検口を活用してBLKでスキャンし、天井内部を3Dモデル化。配電盤の位置も正確に図面に落とし込み、干渉を避ける設計を行いました。
効果
- 立ち入れない天井内構造を把握し、配電盤との干渉を完全回避
- 衛生管理や操業への影響を最小限に抑え、高品質な施工を実現
ケース7:24時間稼働の工場、与えられた実測時間はわずか15分
「測り直しがきかない」極限の現場を乗り切る技術
| 業種・現場 | 工場(架台増築工事) |
|---|---|
| 主な課題 | 実測時間が休憩中の15分のみ、機械が密集しやり直し不可能 |
| 使用機材 | 3Dスキャナー |


課題
生産ラインが止まらないため、実測はわずか15分。プレス機下やコンベア上など狭隘部が多く、遠方のため気軽にやり直せない状況でした。
対応
3Dスキャナーにより短時間で必要なデータを丸ごと取得。設計ソフト上で既存配管との干渉を事前に完全チェックしました。
効果
- 15分の制約でも漏れなくデータを取得し、干渉トラブルを未然に防止
- 設計から施工までの期間を大幅に短縮
ケース8:熟練の勘に頼ってきた配管設備、次世代へ引き継ぐための3D記録化
配管トラブル時の復旧時間を短縮する、事前デジタル化の提案 ※提案事例
| 業種・現場 | 古い工場(薬品・蒸気配管の3Dスキャン提案) |
|---|---|
| 主な課題 | 熟練工の高齢化・ノウハウ喪失リスク、トラブル時の長期停止懸念 |
| 使用機材 | Galaxy-Eye |
課題
多様な配管情報が熟練者の頭の中に依存しており、高齢化で継承が困難。万が一の漏れ事故等では、調査から製作・取付に5〜7日を要し、工場停止の大きなリスクとなっていました。
対応
Galaxy-Eyeを用いて配管を自動認識・モデリング。年代や液体の種類ごとに色分けし、フランジやバルブの位置を誰でもわかる形でデータ化する提案を実施しました。
効果
- 熟練者に依存していた知識を次世代へ引き継ぐデータとして可視化
- サイズや長さを事前把握でき、トラブル時の修復期間を大幅に短縮
ケース9:広大な敷地の確認申請図面を、点群データとBIMで正確に
「測る」と「設計する」の一貫体制が生むスピード申請
| 業種・現場 | 工場(増築・改修に伴う確認申請業務) |
|---|---|
| 主な課題 | 多数の建物・タンクが混在し、手作業での正確な配置図作成が困難 |
| 使用機材 | BLK360、GLOOBE |

課題
工場、事務所、倉庫に加え各種タンクが点在する広大な敷地において、手作業の実測では複雑かつ膨大な時間がかかり、わずかな誤差も許されない状況でした。
対応
BLK360で敷地全体を計測し、BIMソフト「GLOOBE」に読み込んで配置図を一括作成。一貫して自社で対応しました。
効果
- 広範囲の現場データを短時間で収集し、配置図の精度を大幅向上
- 設計から申請までを迅速かつ円滑にプロセス化
ケース10:図面が現存しない重要文化財、3Dスキャンで甦る「記録」
触れずに、正確に。地域の歴史を未来へつなぐ非破壊計測
| 業種・現場 | 市内重要文化財(計測・記録作成) |
|---|---|
| 主な課題 | 図面なし、経年劣化や歪みあり、文化財のため傷つけられない |
| 使用機材 | BLK360、トレンドポイント、GLOOBE |

課題
建築当時の図面が現存せず、建物全体の正確な形状把握が困難。文化財を傷つけずに「今の姿」を正確に記録する非破壊の手段が必要でした。
対応
「計測(BLK360)」→「データ処理(トレンドポイント)」→「BIMモデリング(GLOOBE)」の3段階で建物を丸ごとデジタル化しました。※冊子内でご紹介した與止日女神社の事例も同様の手法です。
効果
- 非破壊で精密な現況データを取得し、文化財のデジタル保存を実現
- BIMで3Dモデルや各種図面化を行い、修復・研究や一般公開等へ活用可能
